Edogawa Art Salon, Tokyoでは、大人向けの西洋美術史講座に加え、子どもや親子が作品を見る楽しさに触れるアート教育企画にも取り組んでいます。
2026年7月11日(土)、足立区NPO活動支援センターにて、親子向け西洋アートクラス「絵をみる 世界をみる」を実施しました。
今回の企画では、ブリューゲル、ゴッホ、アンリ・ルソーの作品を手がかりに、絵の中にある時間、場所、季節、人の暮らし、気持ちなどを、親子で一緒に見ていきました。
作品についての知識を一方的に伝えるのではなく、まず絵をよく見て、自分が気づいたことを考え、言葉にし、少し知識を得たあとでもう一度作品を見ることを大切にしたプログラムです。
企画の目的
このクラスでは、作品名や画家の名前を覚えることだけを目的にはしていません。
絵の中に何が見えるか、どこが気になるか、どのようなことを想像したかを出発点に、一人ひとりが自分の目で作品を見ることを目指しました。
同じ作品を見ても、最初に気づく場所や感じ取ることは異なります。正しい答えを急いで探すのではなく、子ども同士、親子、進行者のそれぞれの見方を共有しながら、作品の世界を少しずつ広げていきました。
見る、考える、少し知る、もう一度見る
プログラムは、次の流れを基本に構成しました。
- まず作品を見る
- 細かな部分に近づいて見る
- 気づいたことを考え、言葉にする
- 作品や時代について少し知る
- もう一度、作品全体を見る
美術史の知識は、答えを覚えるためではなく、作品をもう一度見るための手がかりとして提示しました。
最初には気づかなかった人物、風景、色、季節、距離、画面の奥行きなどが、問いかけや知識を通してどのように違って見えてくるかを、親子で体験する時間としました。

取り上げた作品と問い
当日は、ブリューゲル、ゴッホ、アンリ・ルソーの作品を取り上げました。
作品を見ながら、次のような短い問いを投げかけました。
- これは、いつの時代だろう。
- どんな場所だろう。
- どんな季節だろう。
- 絵の中の人は、何をしているだろう。
- 近くに見えるものと、遠くに見えるものは何だろう。
- 画家は、なぜこの色や形を選んだのだろう。
時間や場所を想像すること、細部から画面全体へ視線を広げること、知識を得たあとにもう一度見ることを通して、絵の中にある「世界」を探っていきました。
親子で参加する鑑賞の時間
今回は、子どもだけでなく保護者にも同席していただく親子参加型の企画としました。
子どもがどこを見て、何を感じ、どのような言葉で表現するのかを、大人がすぐに評価したり答えを教えたりするのではなく、まず一緒に聞くことを大切にしました。
一人ひとりの見方や感じ方を尊重し、年齢や美術の知識にかかわらず、安心して発言し、作品に向き合えるインクルーシブな学びの場を目指しました。
実施概要
企画名
絵をみる 世界をみる
日時
2026年7月11日(土)11:00〜12:00
会場
足立区NPO活動支援センター
足立区梅田七丁目13番1号
対象
小学生を中心とした子どもと保護者
講師
飯田啓子
公認心理師・臨床発達心理士
企画・設計
長谷川浩一
美術史研究家/Edogawa Art Salon, Tokyo
進行・運営補助
長谷川しのぶ
Edogawa Art Salon, Tokyo 主宰
協力
ミライをいきる力を育む親子の会 Smile
EASにおける子ども向け鑑賞プログラム
Edogawa Art Salon, Tokyoは、美術史の専門的な知識を、一般の鑑賞者が自分の目で作品を見るための視点へとひらくことを目指しています。
今回の企画では、普段の一般向け講座で行っている「まず見る」「問いを持つ」「比較する」「少し知る」「もう一度作品へ戻る」という方法を、子どもの年齢や言葉に合わせて再構成しました。
大人向け講座とは異なる進行や問いかけが必要でしたが、作品をよく見ること、わからないことを急いで答えに変えないこと、知識を新しい見方につなげることは、年齢を問わず共通する鑑賞の基盤です。
今回の実践で得られた記録や振り返りを、今後の子ども向け企画、親子での鑑賞活動、美術史を社会にひらくためのプログラム設計へつなげていきます。










