西洋美術史への扉「マティス編」
2026年3月7日(土)、しのざき文化プラザ(東京江戸川区)主催による西洋美術史講座「西洋美術史への扉」にて、「マティス編」を開催しました。
本講座では、鮮やかな色彩で20世紀美術を切り開いたアンリ・マティスをテーマに、「マティス vs ピカソ」という視点も交えながら、近代美術における色彩と形の革新を読み解きました。
副題は、「マティス vs ピカン『ダンス』と『アヴィニョンの娘たち』——色彩と解体の主導権」。
野獣派誕生の背景から、《生きる喜び》《ダンス》《赤いアトリエ》などの代表作を通して、マティスがどのように色彩の力によって絵画空間を変えていったのかを紹介しました。
また、同時代のピカソが形を解体することで近代絵画を切り開いたのに対し、マティスは色彩によって画面を構成し、見る人の感覚に直接働きかける絵画を追求しました。
講座の主な内容
フォーヴィスムと色彩の解放
20世紀初頭、マティスたちは自然の色をそのまま再現するのではなく、感情や構成のために色を大胆に使い始めました。講座では、フォーヴィスム誕生の背景と、その色彩表現の革新性を紹介しました。
《生きる喜び》と色彩の楽園
《生きる喜び》では、人物、風景、色彩が一体となり、現実の再現を超えた絵画世界が広がります。講座では、この作品を通して、マティスが色彩によってどのように空間と感情を作り出したのかを見ていきました。
《ダンス》と身体のリズム
《ダンス》では、人物の身体、円環の動き、青・緑・赤の強い色彩が響き合い、画面全体に大きなリズムが生まれています。単なる踊りの場面ではなく、色彩と形が一体となった絵画空間として読み解きました。
マティス vs ピカソ
マティスが色彩によって絵画を開いたのに対し、ピカソは《アヴィニョンの娘たち》以降、形の解体と再構成によって近代美術を大きく動かしていきます。本講座では、二人の挑戦を比較しながら、20世紀美術の大きな流れを考えました。

主に取り上げた作品
- 《帽子の女》1905年
- 《生きる喜び》1906年
- 《赤のハーモニー》1908年
- 《ダンス》1910年
- 《アヴィニョンの娘たち》1907年
- その他、マティスとピカソの関連作品
開催概要
講座名:西洋美術史への扉|マティス編
副題:マティス vs ピカン『ダンス』と『アヴィニョンの娘たち』——色彩と解体の主導権
日時:2026年3月7日(土)14:00〜15:15
会場:しのざき文化プラザ 3階 講義室
主催:しのざき文化プラザ
講師:長谷川浩一
参加費:700円
定員:54名
講座を終えて
マティスは、しばしば「色彩の画家」と呼ばれます。しかし、その色彩は単に鮮やかで美しいだけではありません。マティスにとって色彩は、空間を作り、身体のリズムを生み、画面全体を構成するための根本的な力でした。
一方、ピカソは形を分解し、複数の視点を組み込みながら、絵画の構造そのものを揺さぶっていきます。マティスとピカソは、異なる方法で20世紀美術の扉を開いた二人でした。
本講座では、《ダンス》と《アヴィニョンの娘たち》を一つの軸に、色彩と形、感覚と構造、装飾と解体という二つの方向から、近代美術の大きな転換を考えました。
ピカソ講座に続き、20世紀美術の展開を考えるうえで重要な回となりました。









